2006年2月号

2006年 ビーエルテック社の目標

2002年7月にビーエルテック社が設立されて、早いもので4年目の下期に入りました。

今年は次に記す目標を私どものスローガンと掲げ、社員一丸となって、お客様とともに歩みながら躍進したいと考えております。

 

1)ラボラトリーのフルオートメーション化を実現する

 オートアナライザーシリーズでは分析終了後のサンプル、試薬ラインの洗浄水への自動切換を行うオートシャット ダウン(AASU-2000)やswAAtシリーズにおけるプラテン自動開放、カドミカラムの還元率自動補正などは既にご存知のことだとは思いますが、システムの運転開始から終了までの一連の操作をさらに自動化し、多忙なお客様の負担を少しでも軽減できるよう努めます。

 

2)新規市場の二一ズに応えた新しい自動分析装置あるいはメソッドの開発に積極的に取り組む

 過去、例えばSTATシリーズで土壌汚染対策法の施行に合わせて含有フッ素分析の開発を行うなどしてきましたが、 今年はJISをより一層考慮しながら、排水における2回蒸留やブランク差し引きを行う装置やメソッドの開発に努めます。

 また上水分析における高感度化や非イオン界面活性剤分析装置のリニューアル、海水分析における微量成分の分析など、今までとは全く異なる概念を取り入れた検出器によって、かつて自動化できなかった項目への対応も順次行っていきます。

 さらに、農業・食品・製薬・バイオ・医学分野まで積極的にオートアナライザーの可能性を広げていきます。そのために、引き続き大学・試験研究機関との連携を強固にしていきます。

 

3)製品の品質向上と安定したサービスでお客様の満足度をより中身の濃いものとする

 利益偏重の企業体質から生じるユーザーを無視した無理なコストダウン・製造供給停止等をしない。何をもって製品の品質とするかは非常に難しいところですが、少なくともトラブル頻度の少ない安定した装置であることは間違いありません。せっかくラボのフルオートメ 一ションが実現してもトラブルが頻発してはお世辞にも品質の良いシステムとは言えません。

 そこでビーエルテック社は品質管理を厳格に行い監視する体制を構築し出荷まで厳しいチェックを行います。

 また、出荷後はより多くのお客様の声に耳を傾けて、できるだけ多くの意見を反映させることができるような新しいシステムの構築を目指しています。

 

4)日本市場のニーズに対応した純国産企業として開発、製造に一層の努力を惜しまない

 万が一の場合にも、あらゆるトラブルシューティングもすべて、純国産企業として対応できることはお客様にとって何よりの安心材料だと考えています。

 また日本の高い精度をもつ加工技術や光学機器、デジタルカメラに代表される信号処理技術はいずれも、世界最高水準です。これら高い日本の技術力が新しいオートアナライザーの可能性を引き出します。ビーエルテック社では既に国内屈指の企業3社の強力なバックアップを得て、すべてのシステムの国産化を目指しています。

 

 新年の幕開けと併せてビーエルテック社も今年は飛翔の年と考えております。日本市場の独自性・創造性を反映したシステムやメソッド開発を迅速に行うには結局のところ日本企業でなくてはで きないところでしょう。

 米国テクニコン社でオートアナライザーが開発されて以来、半世紀が過ぎております。このオートアナライザーの技術は既に日本に定着しており日本の技術と言うにも十二分な時間が経過しています。

 私どもは日本企業として市場の声に耳を傾け、二一ズを率直に受け止め、要求に合致したより良い製品の開発・製造・提供を行います。そうして更なる声に耳を傾け、より一歩二一ズに近づいた一層高度な技術のものを開発・製造・提供します。この日本で再生されたテクノロジーを、ビーエルテック社は昨年、海外にシステムを多数輸出する ことで、その真価を世界に問うことができました。

 また、SEAL社より供給されたディスクリートアナライ ザーAQ2+や米国UnityScientific社の近赤外分析計 SpectraStar2400型の販売も順調に拡大されました。

 この飽く事なき繰り返しこそが更なる高度な製品を創造し、お客様との信頼関係を構築しながら大空に羽ばたけるものと信じております。

 今年6月に開催いたします、オートアナライザーシンポジウムでは、新しい成果を顧客の皆様にご賢いただけると 確信いたしております。

 


Tilzer先生をたずねて

オートアナライザー協会 会長 前田広人

 

 

 Tilzer先生、本名Max Von Tilzer氏はドイツ、コンスタンツ大学の陸水学研究所やマックスプランク極地研究所の所長を歴任され、2004年に退官されました。

 現在はボーデン湖のほとりにあるコンスタンツ市にお住まいです。専門は生物物理学で湖沼や海洋の基礎生産を中心に研究されてきました。

 個人的には私がコンスタンツ大学に留学していたときの指導教官にあたります。温厚な人柄と幅広い教養をお持ちの方で学生のみならず、世界各国の研究者とも交流が絶えません。

 私が以前在任しておりました琵琶湖研究所にも琵琶湖の国際共同観測のために来日されたり、北海道大学とのオホーツク海の共同観測に も参加なさるなど、日本の各地に友人をお持ちです。

 このたび、日本におけるドイツ年を記念して、当オートアナライザー協会は、2006年6月9日にTilzer先生を大阪に招待して基調講演をお願いすることにいたしました。

 それに先立ち、私が2005年9月にコンスタンツのTilzer先生を訪ねた折のインタビューをここに紹介いたします。

 

前田: 先生、長年のお勤めご苦労様でした。お元気そうでなによりです。

Tilzer氏: ありがとう。またボーデン湖に帰ってきてくれたことを嬉しく思います。

前田: ご退官されて、ここボーデン湖のほとりに住まわれるとお聞きしました。私にとっては10数年ぶりのボーデン湖ですが、相変わらずとても美しい風景ですね。

Tilzer氏: 水質からいえば随分改善されたといえるでしょう。でも、最近は水位の変動が大きな話題になりましたね。

前田: 水位というと、気象との関連ですか。

Tilzer氏: そうです。今年も欧州の天候は著しく不順です。この前も、夏なのにチロルで雪が降り、その影響 もあってドイツの南では洪水になりました。かと思えば スペインでは干ばつに見舞われています。ボーデン湖の水位はこのところ安定してますが、2003年には水位が数メートル下がって大変でした。

前田: 水位が下がって、具体的にはどんなことが起こるか興味のあるところですが。

Tilzer氏: まったくそのとおりで、実にいろいろなこ とが起こりました。とりわけ生態系には大きなインパク トがあったように感じます。

前田: というと、たとえば湖の光合成などいわゆる基礎生産などもそうですか。

Tilzer氏: そうです。窒素やリンの負荷もかなり減少しましたし、それにともなう基礎生産の低下もみられました。

前田: でも、湖畔の住民にはそれほど実感としては伝わらないのでないかと思いますが。

Tilzer氏: そうでもないですよ。たとえば、湖畔の住民に限らずボーデン湖を訪れる人にとっても大きな影響があったようです。ボーデン湖に来る人達は、湖で獲れる魚料理を楽しみに来るのですが、その漁獲量が大幅に減少してしまい、楽しむことができずがっかりして帰っていきました。普通に実感するとはこんなことだと思いますよ。

前田: なるほど、それは実に興味深いお話ですね。是非わたしの仲間にもお聞かせ願えればと思います。とりわけ、オートアナラザーシンポジウムに参加するメンバ一には水質だけではなく、気象変動などの、地球規模の水の動向にも興味をもつ方々がおられます。よろしくお願いいたします。

Tilzer氏: それはなによりです。私のほうからも是非 そのような方々と交流できればと思います。

前田: 交流というと、かつてボーデン湖と琵琶湖とは姉妹湖提携を結びたいという話がありましたね。特にボ一デン湖のマイナウ島のベルナドッテ伯爵は、熱心に取 り組んでおられましたが。

Tilzer氏: 伯爵は2003年にお亡くなりになりました。ボーデン湖の環境保全に尽力された方でしたので、私たちにとって大きな悲しみでした。しかし、環境保全に対する伯爵の意志はその娘さんが継いでおられます。以前にも増してマイナウ島への関心は高まっているようですよ。

前田: 伯爵は、私の留学中にお城まで招待いただき、とても気さくにお話させていただいたことがあります。とても残念です。伯爵は写真家としても高名ですし、先生とは写真家としてのお付合いがあったと伺っており ますが。

Tilzer氏: そうです。伯爵は蘭など花の写真家として大成された方でした。

前田: 先生は、研究者としての顔の他に、世界各地の大樹を紹介する写真家としても有名であると伯爵からお聞きしたことがありますが。

Tilzer氏: 実は、以前からどうしても見たいと密かに願っている大樹が日本にあります。

前田: それは屋久島の縄文杉ではありませんか。

Tilzer氏: そのとおり、実は私も伯爵も屋久島の縄文杉には以前から興味を持っていました。おまけに貴方が鹿児島大学に着任されたことを聞いてから、是非行ってみたいという思いを抱ていたのです。

前田: それはいい話ですね。私は今年、鹿児島大学から三重大学に転任になりましたが、教え子達が歓迎してくれると思いますよ。

Tilzer氏: それは実にありがたい。とても楽しみです。

前田: ところで、今回のオートアナライザー協会が先生をご講演にお招きするのは、2006年6月9日になります。まことに申し訳ないです。

Tilzer氏: といいますと。

前田: まさにワールドカップがドイツで開催される日ですよね。

Tilzer氏: 私にはそれ以上に興味深い機会になると思えます。いろいろな分野の人たちと交流ができることは私にとってのワールドカップです。(笑)

前田: それはなによりです。貴重なお話を例えるのを楽しみにお待ち しております。

 


ドクトル海彦のオートアナライザーワンポイントアドバイス

水分析、ここが大事【前処理・保存】

 自然界の生物作用はまさにCHNOPなど非保存性成分(化学的、生物学的な作用で変化する成分)の循環によって成り立っていると言っても過言ではありません。そのため、環境水分析において必須項目としてこれらが取り上げられます。

 ただ困っ たことに、これらの成分は非常に変化しやすいということです。海や川、湖などで、いかに丁寧にコンタミ少なく採水しても、試験室での分析までの短時間に成分が大きく変化する恐れがあるのです。

 それを避けるためには色々の前処理を施し、変化を極少にしなければなりません。溶存ガス(酸素や二酸化炭素など)濃度は現場で測定するか、ある種の固定を施し試験室まで持ち帰 り測定しなければなりません。栄養塩類などを測定する場合には生物作用を少なくするため低温下で運搬しなければなりません。また、ガラス繊維濾紙(海洋学では見かけの孔径O.45μmの、有機物対象の場合はO.7μmの濾紙が用いられることが多い)などで漉過した後の運搬が必要な場合もあります。有機成分を分析するためには凍結する場合も あります。硫酸銅など化学薬品を用いて生物活性を除く方法もありますが分析の妨害物質として作用することなどもあり好ましくありません。

 一般に、採水直後に分析することは事実上困難なことが多く、どうしても一時保存後試験室で分析することが多いでしょう。保存性成分(金属類など)は特殊な場合を除いて、一般に凍結保存するこ とが多いようです。非保存I成分の場合は採水後速 やかに分析することが肝要ですが、短時間(例えば一昼夜程度)の保存にはガラス繊維濾紙で漉過後、漉液を冷蔵保存するのがよいでしょう。経験上、一昼夜以上の冷蔵保存は誤差が大きくなります。冷凍保存は保存期間(どうしても長期間の保存になる)、不適な解凍方法などにより、誤差を生じる恐れが多くなります。濾紙上の懸濁物質などは真空乾燥し凍結保存するのが良いでしょう。

 保存容器は強度、耐熱性、収着性、溶出性、耐薬品性、ガス透過性などの点から最適な材質を選ぶ必要があります。栄養塩分析などを目的とした試水の保存には収着性などの点からポリプロピレン(PP)製のボトルが良いと云われています。最近になりポリエチレンテレフタレート(PET)製がガス透過性などの点で有利ともいわれています。ガラス、ポリエチレン、ポリスチレンなどは収着性、溶出性、耐薬品性、強度などの点で不利と言われています(脂溶性成分目的にはガラス容器が最適です)。

 

発行/ビーエルテック株式会社

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