2006年7月号

第2回オートアナライザーシンポジウム

シンポジウム開催報告

オートアナライザー協会

 オートアナライザー協会主催の「第2回オートアナライザーシンポジウム」が、2006年6月9日に大阪梅田のスカイビル36階にて開催されました。

 今回で2回目となるシンポジウムですが、参加者総数は 前回を大きく上回る176名にも達しました。

 オートアナライザー協会会長の前田広人先生より、シンポジウム開催に当たっての挨拶がありました。これを皮切 りに、前田先生とも親交の深いマックスMティルター教授の基調講演が始まりました。

 『再生可能、しかし限りのあるもの:人口増加への淡水供給』の基調講演があった後、発表が5題行われました。基調講演の中の『硝酸性窒素の健康への影響の重大さについて改 めて認識させられた』との感想がありました。

 第一発表は、株式会社ニッチクリサーチ吉川幸司氏の 『連続流れ分析装置の導入による業務効率の向上』でした。 この発表に対して、アンケートでは『自動分析装置の導入により分析業務の効率が非常にあがることが理解できました』との感想がありました。

 第二発表は、サントリー株式会社澤田美穂氏の『採水容器と試料安定性』でした。『採水容器により試料がどのように変化するのかがよく理解できました』との感想がありました。

 第三発表は、広島大学生物圏科学研究科名誉教授松田治氏の『閉鎖性海域の栄養塩レベルと環境管理のあり方』でした。この発表に対して、『海水の低濃度サンプルを測定する場合の、サンプルの取り扱い、保存方法等についての注意点を もう少し詳しく聞きたい』との要望がありました。

 第四発表は、財団法人秋田県総合保健事業団児桜検査セ ンター次長菅原昇氏の『精度の良い測定のために』でした。この発表に対して、実際の環境分析に携わっている方より『吸光光度法に対して普段から疑問に感じている事柄を、現場を代表して率直に発表してもらえた』『水道法改正の問題点として今後も是非、盛り上げて行ってほしい』との意見がありました。

 第五発表は、独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 畜産環境部 排泄物制御研究室 農業博士 甘利雄拡氏の『畜産分野における窒素分析』でした。畜産分野でもオートアナライザーが活躍している状況がわかりました。

 発表の最後はビーエルテック株式会社埜村朋之氏が『連続流れ分析の公定法をめぐる情勢』について発表しました。

 最後に、オートアナライザー協会から、次期大会が来年も開催されるので参加を乞う旨の挨拶があり、盛会のうちに シンポジウムは終了しました。

 

[交流会]

 シンポジウムの発表後に引き続き開催された交流会には、約60名の方が参加され、活発な意見交換・交流が行われました。シンポジウムの語源はギリシャ語で、「一緒に酒を飲 む」「饗宴」を意味する言葉だそうです。(菅原先生のこ発表 から拝借いたしました)

 オートアナライザーシンポジウムにお越しいただいたみなさま、ご関心をお寄せいただいたみなさま、大変ありがとう ございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

オートアナライザーシンポジウム開催事務局(ビーエルテック株式会社)記

 

 *講演要旨集をご希望される方は、弊社担当者までご連絡 ください、数に限りがありますので、お早日にお間い合 せください。

 


オートアナライザーシンポジウムにお申込いただきました際に、ご質問記入欄がございました。

いくつかの項目について、ビーエルテック(株)技術部からの見解を含めてご紹介します。

 

Q:気泡の役割について説明してほしい

 

A:連続流れ分析(Continuous Flow Analysis:CFAと略す)の気泡は、サンプル吸引のラインと分析反応工程ラインで導入されています。その時気泡がチューブの内壁を押し付けていますので、その前後の液が混じり合うことを防止しています。その結果次のような効果が生じます。

 サンプルラインではサンプルとサンプル洗浄水が混ざり合うことを防ぎます。その結果サンプル間のキャリーオーバを防ぎ、サンプルの処理速度を高めることになります。

 また、分析反応工程に於いても気泡で分割された分節液どうしが混ざり合うことを防ぎます。

 更に、分析反応工程のミキシングコイルでは、気泡で細かく分割された分節液内の渦流がその混合を更に促進します。

 

Q:界面活性剤について説明してほしい

 

A:気泡導入の際、気泡;チューブ;分節液の3種類の異質な相が接触する部分に於いて、必ず表面張力が発生します。この表面張力を無くすことは出来ないのですが、小さくする為に界面活性剤を使用します。その結果、溶液が滑らかに流れ、べ一スラインが安定することになります。界面活性剤はその表面張力を小さくするだけでなく、反応系に対して不活性であることが必要条件となります。

 常用している界面活性剤には、トリトンX-100、ブリッジ35、SLS(又はSDS)が有り、それぞれ測定項目別に所定の濃度で使用 していただくことが必要です。

 

Q:ポンプチューブの種類について説明してほしい

 

A:材質としては透明なスタンダードタイプ、アシドフレックスタ イプ、ソルバフレックスタイプ、シリコンタイプ、ファーメド タイプの5種類が有ります。

 スタンダードタイプは水溶液系の試薬に使用します。硫酸では5N、アルカリでは10N程度、アルコールやアセトンの水溶液では20%程度まで使用に耐えます。ただ耐久性が半分にも満たない類似品も出回っていますので注意してください。

 アシドフレックスタイプはもともと耐酸用として開発されました。濃硫酸をもポンピングでき、クロロホルムやトルエン等一部の有機溶媒にも応用できます。

 ソルバフレックスタイプは耐溶媒性として開発されましたが、アルコール以外については使用に際し注意が必要です。

 シリコンタイプも多くの有機溶媒には使用できますが、使用に際 しては個別の溶媒について確認が必要です。

 ファーメドタイプは耐薬品性も有り、スタンダードタイプに比べても物理的耐久性が改善されています。

 次に送液量の種類については材質ごとに種類は異なりますが、スタンダードタイプに於いてはORN/BLU~PUR/WHTまで、17種類の送液量の異なるポンプチューブが在ります。

 また、対応機種別にカラーショルダー間の長さが異なり、オートアナライザーⅡ型やⅢ型には間隔が広い方(部品番号:116-0549-XX) を、TRAACSやAACS,SWAAT、STATタイプは狭い方(部品番号:178-3748-XX)を使用します。

 

Q:精度管理についての考え方について説明してほしい

 

A:正確度管理、精密度管理について日常的に行われる必要があり ます。まず正確度については、サンプルの測定値がいかに偏り無 く測定されているかということを管理することになります。CFA方式は、毎測定ごとにスタンダードから測定し、検量線を作成します。すなわち、スタンダードを厳密/慎重に用意することで正確度が確保されます。最近では日本分析化学会や試薬メーカーより販売 されている標準品も参考に出来るものがあります。ただ標準品は必ず劣化するものと考え、標準品とは異なる管理用サンプルを別途用意し、標準品のロットが異なる時や、新調した場合には必ず管理用サンプルを測定し、新しい標準品が適正であることを確認する必要があります。

 精密度については、繰り返し測定での再現性がいかに確保されているかということです。別途、安定期問が確認されている管理用サンプルを適当な間隔(例えば1Oサンプルごととか20サンプル ごと)に【分析プロトコール⇒ISS】用サンプルとして配置することで、実サンプルの変動を管理することが可能となります。

 具体的には:管理サンプルの1ヶ月間、ないしは50サンプル程度(30データ以上が必要)の管理サンプルについて、以下の要領で統計処理を行います。

 平均値(M)と標準偏差(SD)を求めます。

 SDの3倍を用いM±3SD(M-3SD~M+3SD)の変動幅が、当該分析メソッドの許容変動幅であると考えます。最終的にこの変動幅 は分析管理責任者の承認が必要です。

 ルーチン分析に於いて管理サンプルのデー.タがM±3SD幅を満たしていることを確認するだけで、実サンプルの誤差は±3SD以内の精密度を保持していると考えます。

 CFA装置では実サンプルと管理サンプルが機械的、電気的、化学的に同一条件で測定されているが故に、既知の管理サンプルを用いて未知実サンプルの変動【偏差】を推計することが可能となります。ただ必要条件として管理サンプル、実サンプルが正常に測定されていることを確認することが必要であり、【アナログ ピーク波形】に異常が無いことを確認することが大切なこととなります。

 分析値には大小はともかく必ず誤差【偏り】が存在します。その分析値が含む隠れた誤差【偏り】が許容範囲内である確認を、毎サンプルごとに取り付ける方式がCFA方式でもあります。

 

Q:べ一スラインの乱れ原因と対策について説明してほしい

 

A:乱れの形状として3種類(ノイズ、ドリフト、シフト)に分類で きます。以下それぞれの原因と対策について紹介いたします。

 定義として:ノイズは、経時的には上方又は下方に変化しないで、ノコギリ歯状の上下動をノイズと定義します。ドリフトは、経 的にほぼ一定の割合で上方又は下方に変化している場合。シフ トは、階段状に安定部分と急激な変化(上方又は下方)部分をくりかえすような変化パターンです。

 原因解明のアプローチとして:先ず光学系を含む電気回路系に起因するか、流路の汚染や試薬の不具合等に起因するかを見極める必要があります。その方法の1つはポンプの駆動を停止し、注射器でフローセル内を純水で満たした時に乱れ形状が回復しなければ電気回路系の不具合であり、技術サービス員に連絡をお願いすることになります。一方その形状が回復した場合、主として【フロ 一セルの劣化又は汚れの付着、ポンプチューブの劣化、試薬及びボトル汚染やチュービングの劣化等による不具合】が考えられます。その対策としては部品の交換や洗浄を行うことが必要です。

 以下断定的ではありませんが、ノイズ/ドリフト/シフトは多くの場合、光学系・電気系の不具合とかフローセルや流路の部品劣化による液漏れ、分節気泡の不揃い、サンプラー洗浄槽系の汚染などが考えられます。部品の交換、消耗品の交換や汚染箇所の洗浄で対処していただくことになりますが、個々のケースでの詳細は技術員に相談して下さい。

 特にノイズについて、過去の経験から得られた原因について列記いたしますと、

①純水についてはJISK0557(用水・排水の試験に用いる水)を厳守してください。

②全ての試薬容器(純水、洗浄水舎器も含む!)は、必ず代替予備容器を用意して戴き、決して試薬の注ぎ足しはしないで下さい。また容器は透明な材質で、沈殿物が出来た場合に確認出来るものが望ましいです。

③システム洗浄水そのものに、沈殿物の発生や汚染が認められるケースがあります。特に担当者が交代されたような時に散見されます。システム洗浄水は用時調製が原則です。3日以上経過したものは使用しないで下さい。

④50%トリトンX-100、15%SLS等の界面活性剤は、3ヶ月以上経過した場合は使用しないようにして下さい。

 

Q:装置の維持管理について説明してほしい

 

A:装置の性能を維持保全することは最重要課題でもあります。その中で装置の性能の維持保全の為に、お客様ご自身で行っていただきたい事項、及び弊社技術員が行う事項があります。ここではお客様にお願いする事項を中心に記述させていただきます。

<機械部分について>

 測定精度を維持する最重要部分はポンプの管理です。ポンプは電源ONからOFFまで絶えず駆動しております。駆動する部分 (ポンプローラー)が絶えず滑らかであるように配慮していただく必要があります。その為には、

①ポンプローラヘの定期的注油(マニュアル参照)。

②ポンプチューブ交換時のローラーの清掃及び試薬漏洩による錆の無いことの確認。もし錆が見つかれば速やかに出来る限り錆を除去する。

③ポンププラテンの交換は必ず行う必要がありますが、ご使用状況等勘案し、その交換については技術員に相談願います。

 その他駆動部分についてはエンジニアが対処する必要がありますので、スポット点検や定期点検を必ず受けていただく必要があります。

<光学部分について>

 消耗部品として光源ランプと干渉フィルターが有ります。ランプは突然切れるものですが、切れないまでもフィラメントの劣化が進みますと、ノイズ発生の原因になることもあります。機種によ りランプ寿命が異なりますので、マニュアルでご確認ください。

 次に干渉フィルターは高い湿度を嫌います。2~3年で交換されるようお勧めします。

<試薬流路、反応流路部分について>

 ポンプチューブは定期的に一斉交換してください。特にポンプチューブの耐久時間が短くなった場合、ポンププラテンのサイドレールの磨耗に起因するケースが考えられます。

 測定が終了した後、試薬ストローからの洗浄がマニュアルに記載されていますが、この洗浄は必ず実行してください。次に洗浄液として金属の汚染が気になるようであれば、1N程度の塩酸を 15分程度(前後は必ず純水を流し、残留する試薬と混じり合ったり、また最後に塩酸が残留することの無いように配慮する)特別に行うことで効果が得られることもあります。また蛋白や有機物の洗浄には、有効塩素1%未満の次亜塩素酸ナトリウムで洗浄すると効果があります。反応流路に規則正しく気泡が導入されていることが極めて重要なことです。この定常性を乱す要因として対処 していただく事項は、エアーバー(又はピンチバルブ)に使用さ れているエアーバーチューブは、左又は右にずらさなければ押される部分が酷使されたままで必ず機能しなくなります。マニュアルに従い、定期的にその押される位置を必ず移動してやる必要があります。エアーバーチューブの交換も定期的に行うことが必要です。また気泡が規則的に導入されない要因として、ローラータイミング調整が正しくないケースがあります。この調整は技術員のアドバ イスが不可欠で慎重に行う必要があります。

 

(回答;ビーエルテック(株)技術部)

発行/ビーエルテック株式会社

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