2009年5月号

流れ分析通則〔JIS K 0126〕の改正について(連続流れ分析法の追加)

 この規格は平成21年2月20日付で公表され、その通則名称も“フロー インジェクション分析通則”から“流れ分析通則”へと改名されました。通例では5年ごとに見直し改正が行われており、今回の改正では“連続流れ分析法”の規定が新たに追加されたことが主たる改正点です。

 この規格の法的位置付けは、『工業標準化法第14条によって準用す る第12条第1項の規定に基づき、(社)日本分析機器工業会及び(財)日本規格協会から、工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申し出があり、日本工業標準調査会の審議を経て、経済産業大臣が改正した日本工業規格である。』と述べられています。

 1957年に世界で最初に発明された化学分析の自動化法が半世紀 を経て、日本の法体系に“JIS規格”として組み込まれたと理解しております。

 この“流れ分析通則”は1項から10項で構成されている本体規定と付属書A“流れ分析装置の使用判定項目”規定で体系化されており、あ くまでも規定には含まれない“流れ分析通則解説”が付属として本体記述を補っています。

 本通則に使用されている語句についてですが、多少違和感が感じられる場合があるかと思います。フローインジェクション分析法との語句 の共有化やその定義化が必要であったこと、JIS規格専用用語の制約等に由来したものとお考えください。

 “流れ分析通則”の改正を受け、自動吸光光度法を用いた自動測定法が日本規格協会の助成を受け(社)日本環境測定分析協会を中心に作業がスタートしています(本年1月の環境新聞より)。記事によりますと窒素化合物、リン化合物、フェノール類、フッ素、6価クロム、陰イオン 界面活性剤、シアンの標準化が対象になっています。標準品の充実と合せ、ますます自動吸光光度法の発展が期待できるようになりました。


近赤外分析計スペクトラスターRTW(SpectraStar RTW)の登場

 はじめに

 スペクトラスターは、近赤外分析計で定評のあったインフラライザーの後継機として開発されました。回折格子のロングライフ化を実現させる光学設計には特許が与えられ、まさに次世代型の近赤外分析装置です。

 スペクトラスター2400(以下SS2400)は、他社の回折格子タイプに比べて大きな違いがあります。SS2400では、1200-2400nmの間を1nm毎にスキャニングしており(1200ポイント測定)、高波長側を捉えていない他社回折格子と差別化をしています。具体的に言いますと、他社に見られるような装置では、低波長~1900nmの間の測定レンジであったり、2nmきざみに スキャニングしたりしています。実は、1900nm以上の波長領域には、水分、蛋白、脂肪、糖分、澱粉、繊維などを測定するのに必要なC-H、N-H、OHbond が含まれており、良い検量線作成には、高波長が重要な役割をも ちます。

 下の図は、スペクトラスターでスキャニングしたものですが、着色部に重要な帰属があることを示します。 また、回折格子型以外に、FT-NIRのタイプもありますが、近赤外領域 の低波長側では、シグナル/ノイズ比が落ちると言われています。言い換えれば、可視レンジに近づくほど精度が落ち、正確度が下がるのです。

 さらにマイケルソン干渉計を用いているFT-NIRは振動の影響を受けます。これは、at-line(生産現場)分析には不向きだということです。振動による影響を削減するような改良をしたとしても、マイケルソン干渉計の構造上、正確に位置合わせをしなければならない鏡と動作部を含んでいます。 そのため細かい調整が必要です。

 干渉フィルタータイプは、安価とシンプルな構造ゆえの安定さのために、国内でも大変多く販売されましたが、時代が変わり、検出器も優れたものが出てきました。右図は干渉フィルタータイ プに使われているPbSとSS2400に使用されているInGaAsとの感度の差を表すものです。これによると、PbSはInGaAsに比べ感度が10倍悪いことになります。また、19波長ポイントですとPLSやPCRと云った解析手法にも限界がでてきます。

 

他に類をみないサンプリングデバイス

 スペクトラスターRTW(回転トップウインドウ型、以下SS-RTW)には、どのようなサンプルでもそのまま分析できるよう種種のサンプルカップとアダプ ターが準備されています。このアダプターはいわゆる高価なオプションではありません。操作も驚くほど簡単です。

 また、市販のシャーレやビーカーさえもサンプルカップとして使用でき、不均一なサンプルであればそれらを回転させることにより、さらに精度をあげることができます。チョコレートやバター、チーズのような、サンプリングが一見困難なサンプルでも、シャーレなどを用いれば簡単に測定することができ、また何度でも洗って使え安価だといえます。

 このサンプルカップアダプターは他社のサンプルカップにも対応しますので、今までお使いのものがそのままお使いいただけます。

 

他に類をみない頑強な装置

 SpectraStarにはエアフィルタや外部ファンがありません。完全密閉構造なので、ダストやミストによる装置内の異常や故障が起こりません。内部電力量はわずか45ワットなのでペルチェ冷却で十分ですが、本体をアルミにすることで放熱させています。コンピューター不要のスタンドアローン型は、インフラライザーのコンセプトを受け継いでいます。

 幅33cm奥行41cmという装置のコンパクトさに加え、14kgと軽量なため生産ラインでも試験室の中でも場所をとらず、どこでも移動しながらお使いいただくこともできます。

 たとえば、デモをする場合でも、SSシリーズのように、車のトランクに積んで走れるような装置は他にはないのではないでしょうか。

 

他に類をみない検量線の完全移設

 時間とコストがかかる検量線作成の手間を大幅に削減するTransStar ソフトウェアを紹介します。これは、検量線のデータベース全体をどのようなNIRプラットフォームからでもSpectraStarに移すことを可能にします。

 TransStarを使えば、貴重なデータベースを、SpectraStarに転送するだけでなく、時間とともに新しいデータを追加することにより前の検量線を よりいっそう頑強にすることになります。

 

(以上はUnityScientific社の資料から抜粋)


地球環境観測の国際連携と技術者の想い

株式会社 環境総合テクノス 太田秀和

 私は平成21年2月10日、フランスの首都パリに居ました。 “International Nutrients Scale System(INSS)”1)という国際研究会が国連のユネスコ本部において開催され、「栄養塩測定用海水標準物質の開発とその安定性の研究」という題で発表をしました。

 この開発研究は私とオートアナライザーとの出会いにより始まりました。1993年の夏、海洋調査団の栄養塩(硝酸塩、亜硝酸塩、りん酸塩、ケイ酸塩)測定担当として、初めてオートアナライザーと出会いました。海洋調査における精度目標は繰り返し精度0.2%以内という当時としては殆ど不可能と考えられるレベルの高い数値目標でした。

 しかし、栄養塩担当チームは目標にむかって測定操作の細部に渡って見直しを始めました。一方このころから栄養塩濃度の変化しない海水(標 準物質)が必要であるとのことで開発を始めました。地球環境の僅かな変化の検出には高い繰り返し測定精度と基準となる 「ものさし」としての標準物資が必要でした。

 取組開始から15年を経て、日本発信の多くの成果がこの研究会で発表されました。これら成果を基に海洋観測の国際的連携が進められることになりました。

 今後さらに装置の性能向上、測定方法の高精度 化と人材育成、標準物質の普及が相まって「データは人類の財産」として価値が向上していくことが期待されます。


『ディスクリートフローアナライザーAQ2プラス』による、土壌分析

 肥料原料の枯渇や、石油価格の高騰(不安定)等による、効果的で経済的な施肥設計の要求と、土壌分析の需要が、農業分野で増えてまいります。

 そこで、診断施設において分析の自動化、効率化に効果のある弊社の土壌養分自動分析装置をお役立ていただけます。

 ディスクリートアナラザーAQ2プラスは、試料や試薬計量のピペット操作部、混合操作部、検出操作部をオートサンプラーとともに小型の筐体に一体化した吸光光度法の分析を自動化し、多検体処理を目的とした装置です。

 適応項目は、チッ素やリン酸はもとより、カリ、マグネシウム、カルシウム等の分析も吸光光度法に置き換えております。したがって、土壌養分の主要な項目の分析は、このAQ2プラス1台で分析可能です。

 分析精度は、土壌研究者と弊社の分析自動化技術者の共同開発により、試薬濃度、試薬分取量、反応時間、測定波長が最適化されておりますので、高精度分析をお約束いたします。

 取り扱いは非常に簡単で、容量40ミリリットル程度のボトル、分析標準や試料の設置を施した後は、コンピュータへの設定操作のみで、化学分析の専門知識などは不要です。装置の試運転や、終了操作も不要で、運転前後の装置の保守もほとんどありません。

 弊社のディスクリトフローアナライザーAQ2プラスが多くの診断ご施設で活用され、資源の節約と、環境の保全に寄与できますことを希望いたします。

分析項目 分析方法 測定
範囲
処理速度
(20検体一斉分析時)
カリウム  カリボール比濁法 ~50 約70分
カルシウム  オルトクレゾール・コンプレキソン法 ~200
マグネシウム  キシリジンブルー法 ~20
土壌交換能(CEC)  インドフェノール吸光光度法 ~50 約40分
アンモニウム態窒素  インドフェノール吸光光度法 ~50 約110分
可給態窒素  銅・カドミウム還元-ナフチルエチレンジアミン吸光光度法 ~20
可給態リン酸  モリブデン青(アスコルビン酸還元)吸光光度法 ~20
可給態ケイ酸  シリカモリブデン法 ~20

発行/ビーエルテック株式会社

ページ上部へ戻る