新しいオートアナライザー協会の創設にあたって
会長 前田広人
前任者の真鍋武彦先生のご指命と発起人の先生方からのご推薦により当役を務めさせていただくことになりました三重大学生物資源学部の前田広人と申します。微力をも顧みず当会の発展に努める所存です。以後よろしくご協力のほどお願い申し上げます。
さて、環境の世紀とも称された激動の20世紀を経て、私たちは今、新しい世紀に踏み出しました。ふりかえれば、前世紀はそれまで地球の環境に依存してきた人間が、自らの手でその環境を変えてしまうほどの影響力を手にした世紀でもありました。それは自然の生態系の調和を崩すほどの力でありました。とりわけ水環境においては、公害間題を始めとして自然に対する負荷が最終的には人間に跳ね返るものであることを身をもって体験し痛感させられました。
水質に限定すれば、例としては、水俣病であり、赤潮であり、アオコであり、また重油汚染であるというように数え上げれば枚挙に暇がありません。このような水質汚染という具体的な現実を自然界から突き付けられ、環境保全の重要性に否応なく気付かされたというのが今の私たち人間の姿です。そして、今後も予断を許さない環境破壊に対して、常に危機感をもって望むことが必要であると実感させられる昨今の状況です。
環境保全に取り組む人にとって、これまでの経験を重ねてきた年月は決して猶予あるものとは言えません。赤潮やアオコや重油汚染といった誰の目にもわかるような現象が起こる一方でまた、環境ホルモンや地下水汚染など、一見しただけでは解らないような環境汚染も起こり、それらを未然に防ぐことに私たちは失敗して来ました。
これは環境保全に関する、意識の普及浸透を任務とする専門家の責任が問われる問題であるといえます。そしてまた、先見的な環境モニタリングの在り方に疑問が呈示される問題でもあります。
ここで私たちは振り出しに戻り、環境リスクに対する取り組みを今一度考え直すことを余儀なくされています。これは地球環境にとっても人間を含む生物にとっても、そして専門家においても、大きな不幸であります。しかし考えてみますと、反面、これまで揮沌の海のなかで手探り状態であった未熟な環境モニタリングの世界に、確固たる基礎を構築する絶好の機会でもあります。
本組織はこのような環境モニタリングの高度化の必然にあたり、オートアナライザーを通して、水質分析の高度化および水質保全に資するための技術的支援と会員相互の情報交換の場を提供するものです。
具体的な活動としてはオートアナライザーシンポジウムを開催し、環境モニタリング技術に関する情報交換を通して、環境モニタリングの高度化と応用面の拡充を期したいと考えております。多くの関係者の貴重な経験と斬新なアイデアによる支持によって、環境分析をより高レべルに維持し、我が国の環境保全の一助になることを願っております。
またこれは私の個人的な願望ではありますが、将来的には新分野の開拓のための専門家によるワークショップを開催したり、ある特定の地域をモニターする任意参加型のオブザべーションツアーなどを企画したり、また、会員による関係書籍(たとえば会員のオブザべーションツアーを基にした日本清水百選など)の出版も構想しております。
以上、各分野からの参入を促進し、更なる発展を図るため、ご多忙のところ誠に恐縮とは存じますが、以上の趣旨にご賛同いただき、皆様から暖かいご協賛を賜りますよう心からお願い申し上げる次第です。
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米国ナビスコレポート 米国ユニティ・サイエンティフィック社製 走査型近赤外分析計スペクトラスター2400型による好調な新ビジネス
近赤外分析計発祥の地である米国にて、近赤外ビジネスの新しい流れが始まっています。 これは近赤外分析計メーカ米国ユニティ・サイエンティフィック社と2004年クラフト・ナビスコ社との間で始まった、100 台もの近赤外分析計のリプレイス(買換え)の動きです。 ナビスコ社は過去、多くの自社工場で近赤外分析計を使用し、経費削減、不良率の減少、生産性確保に活用していました。しかしながら、それら分析計が古くなったのと、導入していた近赤外分析計のメーカが2年前に近赤外分析計の製造を中止したことから、新しい分析計の採用を検討していました。 このリプレイスの候補として多くの近赤外分析計メーカーが名乗りを上げ、各社が仕様書を提出しました。 米国ユニティ・サイエンティフィック社は後発の新しい近赤外分析計のメーカですが、そこで働く社員の多くは過去様々な近赤外分析計メーカーで仕事に携わっていた人々です。 それらの深い経験と知識を活用して、『現場で必要な近赤外分析計とは何か?』 という視点に立って開発されたスペクトラスター2200型を米国内で販売していました。 ナビスコ社では、『今までの検量線やデータを新しい装置に移設して使用したい』 という要求があり残念ながら、このスペクトラスター2200型では測定できる波長に制限があることや操作性が現場の意向と異なっていることが解りました。 ユニティ・サイエンティフィック社は2004年、新たに開発した走査型近赤外分析計スペクトラスター2400型とドイツの「センソ・ロジック社」に作成を依頼したCalibration Workshop(CWS)ソフトでナビスコ社のトライアルテストに臨みました。 多くの近赤外メーカーがナビスコ社の要求精度や現場での操作性を満たすことが出来なくて脱落する中、ユニティ・サイエンティフック社のスペクトラスター2400型は、測定精度・操作性・耐久性の面でいずれも顧客の要求を満たしました。 ナビスコ社は自社工場のクッキーやクラッカーの水分や脂肪、糖分測定を始め、幾つかのシリアルプラントにスペクトラスター2400型を導入しました。 またナビスコ社の関連のオハイオ州の製粉工場とインディアナ州のカラメルプラントにも続々とスペクトラス夕一2400型を導入しました。最終的には3年間をかけて100台近い近赤外分析計がリプレイスされると予測されています。現在その3分の1以上の台数が納品されています。 ナビスコ社では導入されたスペクトラスター2400型を自社のネットワークで結ぶ計画です。 ユニティ・サイエンティフィック社の販売責任者であるフィル・カルビ氏は今回のビジネスの成功の要因を「顧客は現場で使用する近赤外分析計の重要さと、分析計に必要な条件、分析精度、検量線の移設性、操作性、堅牢性そして近赤外分析計にとって最も重要な波長は何かをよく理解していた。また前回の近赤外分析計メー力ーの製造中止の経験から、近い将来製造中止になるであろう装置の購入は望まなかった」と語った。 ユニティ・サイエンティフィック社は米国を初めとする世界中の国々で古い近赤外分析計のリプレイスや新規導入を行っています。今回のナビスコ社では、2年前に製造を中止したメーカの近赤外分析計のリプレイスがほとんどでしたが、アーノルド博士により新しく開発された「検量線移設ソフト」により 他の近赤外分析計からの乗り換えもスムーズに移行できるようになったと発表しています。 現在同社は南米の近赤外分析計による砂糖黍取引の大型商談や多くの小麦、大豆、菜種、 食品プラント関連の商談を抱えています。 また4月にニュージーランドで開催される予定の国際的な近赤外分析法の会議でも展示、発表をすると述べています。
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発行/ビーエルテック株式会社 |