近赤外分光法の原理

近赤外分光法(Near Infrared Spectroscopy)は、試薬や消耗品を使用しない成分測定法です。その原理は、近赤外領域と言われる800~2500nmの光を測定対象物に照射し、その吸収された波長に統計手法を駆使することで他成分を同時に測定するというものです。

その対象は、OH、NH、CHの官能基による吸収が主体ですが、醤油の食塩などはJASに認定されたほどの高精度を有しています。さらには、お米のマグネシウムやカリウム測定の事例もあります。

農産物、食品にトレーサビリティーが求められている今日、ますます分析頻度が高まってくることが明らかである反面、出来る限り試薬・消耗品等の廃棄物を減少しなければならないというジレンマを解消する技法が近赤外分光法です。

近赤外分光法とは?

近赤外分光法の歴史

近赤外分析法は1970年代 米国農務省のDr. Karl Norrisらにより、農産物の品質取引や食品中の主要一般成分である、水分、タンパク、脂肪分などを非破壊で迅速に測定出来る自動分析装置として、実用化に至りました。

日本国内では1970年代後半から徐々に導入が始まり、ビーエルテック社の前身であるテクニコン社、ブラン・ル-ベ社含め、農産物・飼料分野での用途から、小麦粉やスターチ、食用油脂、乳業業界における原材料確認試験から製品管理など広くに渡り利用されてきました。また日本の伝統ある発酵食品の醤油・味噌分野におきましても一般成分検査の自動化目的で運用が進み、計1千台近くの近赤外分析装置が国内の現場に導入されました。
その後90年代に入り、近赤外分析装置は薬粧業界での原材料確認試験や石油化学工業分野にも展開してきました。

このように目覚ましい発展を遂げた近赤外分析装置ではありますが、近年でも数多くの利用者である食品・農業分野での利用の重要さは、年々増してきており、一般成分のみならず栄養成分としても品質を管理する道具として分析担当者には欠かせないという評価を頂いております。