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近赤外分析装置

近赤外分析法 ワンポイントアドバイス

近赤外分析法 ワンポイントアドバイス

ISO12099では、NIR(near infrared reflectance)、NIRS(near infrared spectroscopy)、NIT(near infrared transmittance)と分けて定義しているので、以下はそれに倣うことにする。

スペクトラスターXTシリーズは、特許のTASテクノロジーにより常に波長の正確性と低ノイズが、工場出荷時レベルを保持するので、ユーザーは装置の分析値を信頼することができる。
しかしながら、NIR法は予測値であるので、原料(産地、銘柄)や製造条件の変更があれば、検量線の見直しをする必要がある。

ここでは、スペクトラスターを導入されたユーザーが、さらに良質な検量線を作成される際に、大変有益なソフトであるサンプルセレクションとコンデンスの紹介をする。ともにUCalソフトに標準装備されているので、追加の費用は発生しない。

検量線作成用の試料は、各測定項目の濃度分布度数が低濃度から高濃度試料まで均等なのが良い。。しかしながら、測定しない限り試料濃度は分からない。これを解決するのがサンプルセレクションソフトである。


収集サンプリングは正規分布的になる


理想的なサンプリング収集

手順例

先に入手可能なできるだけ多くのサンプルのスペクトルをとる。例えば500サンプルのスペクトルのみをとる。
次に、この500サンプルから検量線作成用のサンプルを抽出する。例えば50サンプル(30点は検量線用、20点は検証用)
ここで初めて抽出したサンプル50点を手分析する。この50サンプルは500サンプルからのバラツキをもたせたものであるため、低濃度から高濃度まで偏りのないサンプル収集となる。
また50サンプルを検量線用と検証用にサンプルセレクションで偏りなく良好に分ける。
NIR法は、検証のためにSEPを求めなければならない。詳細は別の機会にふれてみたい。

検量線の移設はしばしばある。現有の検量線を別工場の装置への移設や、あるいは他社の検量線の移設もあろう。そのような場合、そのまま再キャリブレーションをして使用するより、コンデンスソフトを利用すれば更にNIRデータが改善する。

表1はヨウ素価、表2はリノール酸測定で、コンデンスソフトを用いた例である。


表中、Transferはそのまま移設し、Transfer+updateは元データにサンプルを追加したことを示す。
Transfer+Cond+updateは移設したデータをコンデンスソフトにかけた後に追加のサンプルを示している。
SECVだけを見ても代わり映えしないが、バリデーションすると大きく改善したことが分かる。
(表3)

コンデンスソフトは、現有の膨大なデータに新規サンプルを追加した場合、その情報を埋没させるのではなく、強く反映させるものである。

文責 沼田拓也

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