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酒造好適米のタンパク含有率の測定への活用

酒造好適米のタンパク含有率の測定

株式会社 アスク 米穀・酒米事業
課長 市村 明士

弊社、株式会社アスクは山形市に1995年に設置した、米穀類販売業の会社です。主食米、日本酒原料の酒造好適米や季節ごとの山形の美味しい果実をも取り扱っています。

弊社は、安全で安心な米を提供するために、食品衛生管理はもちろんのこと、お客様に美味しいお米、酒造に適した酒米を蔵元に提供するために、米の成分分析を行っています。中でも、米のタンパク含有率に着目しています。山形県の主要品種である「つや姫」、「はえぬき」などの主食米のタンパク含有率とごはんの美味しさとは関係が強く、タンパク含有率が高いと、ご飯の粘りが減少し硬く感じるため食味は低下します。また、酒米のタンパク含有率が高いと、清酒中のアミノ酸が多くなり、雑味が増加します。このように、主食米でも、酒米でもタンパク含有率がともに美味しさに影響するキーポイントと言っても過言ではないのです。

主食米では近赤外線分光器でタンパク、アミロース含有率を測定し、米の美味しさを判定する食味計が米業界では一般的に使用されています。しかし、酒米のタンパク含有率を簡易に測定する機器はなく、農業試験場などの研究機関で独自に近赤外線分析器の検量線を作成し使用しているのが現状です。このため、弊社では当初、山形県農業総合研究センターに酒米のタンパク測定を依頼してきましたが、年々、酒米のサンプル数が増加し、自社で分析器を導入することにしました。導入に際し、酒田市のサカタ理化学(株)から紹介されたのがビーエルテック(株)のスペクトラスターです。さて、導入はしたものの、本器を使うまでには苦労しました。というのは、酒米には主食米と玄米特性が異なります。その一つが大粒であることです。主食米「つや姫」の千粒重が22gなのに対し、酒米「出羽燦々」は27g近くです。二つ目が心白といって玄米の中心部に心白部分があることです。心白は米粒の中心部のデンプン質が粗になっているた
めに、光が乱反射して白く見えます。心白部分は麹つくりの際、麹菌の菌糸が米の内部に入りやすいなど、酒造りに適した構造になっています。心白発現の程度は、酒米の品種によって異なります。そのうえ、気象によっても発現は影響されます。導入時に作成した検量線で2年目のサンプルを測定しても、化学分析の実測値とかけ離れ、再現性は低かったのです。大粒、心白がその原因ではないか。安定した検量線を作成する、これが弊社の最大の課題でした。日本食品分析センターへの分析依頼、山形県農業総合研究センターの分析器での測定を繰り返し、3年間かけて検量線の精度を高めてきました。この間、ビーエルテックの小南様、サカタ理化学の齊藤様には何度も会社に足を運んでいただきました。

その甲斐あって、平成28年産の酒米のタンパク含有率の測定は、山形県金山町産「出羽燦々」、兵庫県多可町産「山田錦」、富山県南砺市産「五百万石」、岡山県赤磐市産「雄町」など、全国の主要な酒米産地の500点近いタンパク含有率を測定できるまでになりました。弊社は、タンパク含有率を測定するだけではなく、そのデータを解析し、高品質酒米づくりの処方箋を生産者の手元に送り届けています。のみならず、蔵元への酒米納品時にトレーサビリティシステムでタイムリーに測定値を報告できるようになり、好評をいただいています。

今後も、さらなる測定数値の安定化を図ってまいります。山形県で誕生したばかりの新酒米品種「雪女神」はこれまでの酒米とは異なり、大粒で心白発現が小さいという特性を持っています。今の検量線が本品種にも適用できるかという課題があります。もち米のタンパク含有率の測定など、ビーエルテック社のスペクトラスターの幅広い活用によって、業界関係へさらなる貢献を進めてまいります。

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