JIS K 0 102, J IS K 0 170 及び環境省告示改正について

2019年3月20日に、JIS K 0102, JIS K 0170及び環境省告示改正が行われた。

JIS K 0102

細部に至るまで様々な改正が行われた。改正が行われた主な内容について以下に記す。

● フェノール類,ふっ素化合物,全シアン及びアンモニウムイオンへの少量の試料で蒸留操作を行う小型蒸留操作の導入、並びに全窒素及び全りんの加熱分解前処理操作の試料量及び試薬量の少量化。
● 誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)を用いた、ナトリウム及びカリウムの測定手法の追加。
● ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)を用いた、アルキル水銀の測定手法の追加。
● 液体クロマトグラフ誘導結合プラズマ質量分析法(LC-ICP-MS)を用いた、六価クロムの測定手法の追加。
● 附属書のベリリウムの測定方法の、本体への移行。
● 残留塩素測定における誤検出抑制手法の追加。

JIS K 0170

2016年7月16日に開催された第一回原案作成委員会に始まり、本日に至るまでに本委員会2回、分科会5回開催された。改正が行われた主な内容について下記に記す。

● 原理の文章について、CFAとFIAとで分けて実際の測定原理に則した内容となるよう修正を行った。
● これまでのJIS K 0170の定量範囲はISOからの引用である。国内の環境分析で方法を使用するにあたり、定量範囲が実際要求される範囲と乖離があることから、定量範囲の見直しを行った。

項目
JIS K 0170-1 アンモニア体窒素
0.05mg/L~10mg/L
0.1mg/L~10mg/L
6.2ガス拡散・pH指示薬変色FIA法
6.4サリチル酸によるインドフェノール
青発色CFA法
JIS K 0170-2 亜硝酸体窒素及び
硝酸体窒素
0.01mg/L~1mg/L
0.004mg/L~1mg/L
JIS K 0170-3 全窒素
0.1mg/L~2.0mg/L
(カドミウム還元吸光光度法)
1mg/L~20mg/L
(紫外検出法)
0.05mg/L~5mg/L
JIS K 0170-4 6 りん酸イオン
0.01mg/L~1mg/L
0.003mg/L~1mg/L
JIS K 0170-4 7 全りん
0.1mg/L~10mg/L
7.3.2及び7.3.4を用いた
場合:0.1mg/L~10mg/L
7.3.3及び7.3.5を用いた
場合:0.003mg/L~1mg/L

● JIS K 0102 3 試料の取り扱いで、全窒素、全りん等項目は、ろ過等の前処理操作の規定がない。すなわち、懸濁物質を含む試料を分析に供する試料として取り扱うことを前提としている。そのため、懸濁物を含む試料について「懸濁物によって流路内細管が詰まるおそれがある場合は,ホモジナイズをして懸濁物を細かく砕き均一にした試料を用いる。」の文章を本文に追加した。
● 新たな分析方法として、JIS K 0170-7 フェノール類6.3.2 4-アミノアンチピリン発色FIA法を追加した。また、ISO 14403の改正に伴い、JIS K0170-9 シアン化合物6.3.3 紫外線照射・ガス拡散(pH3.8)-4-ピリジンカルボン酸ジメチルバルビツール酸発色FIA法と、6.3.5 紫外線照射・ガス拡散(pH3.8)-4-ピリジンカルボン酸ジメチルバルビツール酸発色CFA法とを追加した。
● JIS K 0170-6 ふっ素化合物6.3.3 蒸留・ランタン-アリザリンコンプレキソン発色CFA法は、海水や汽水等塩化物イオンを含む試料において、低濃度付近測定で良好な回収率を得ることができない。そのため、蒸留試薬にグリセリンや塩化ナトリウムを追加し、発色試薬の前にアルミニウム溶液のラインを追加する等の分析手法の追加を行った。

告示

告示の分析方法の多くがJIS K 0102を引用しているが、環境計量証明事業所での分析方法の公定法はJIS K 0102ではなく環境省(庁)告示に示された分析方法である。今回の告示改正では、JIS K 0102の改正内容を引用していない内容があるので留意が必要である。改正が行われた主な内容について、以下に記す。

● 小型蒸留装置【適用除外】
JIS K 0102 の改正で新たに追加された小型蒸留装置について、公定法としての検証が未了のため、適用除外とする。
【項目】
・JIS K 0102 28 フェノール類 ・JIS K 0102 34 ふっ素化合物
・JIS K 0102 38 全シアン   ・JIS K 0102 42 アンモニウムイオン

● 加熱分解装置【適用除外】
JIS K 0102 の改正で新たに追加された加熱分解装置について、公定法としての検証が未了のため、適用除外とする。
【項目】
・JIS K 0102 45 全窒素 ・JIS K 0102 46.3 全りん

● 六価クロム(六価クロム化合物)【適用除外】
JIS K 0102 の改正で新たに追加された液体クロマトグラフICP質量分析法について、公定法としての検証が未了のため、適用除外とする。

● アルキル水銀【変更】
ベンゼンからトルエンへの抽出溶媒の変更。

● ふっ素化合物【変更】
低濃度付近測定の際に、ハロゲンの影響を受けることが示唆されていたJIS K 0102 34.4の流れ分析について、JIS K 0170-6の改正に伴い、公定法としての検証が完了したため、告示法について変更する。

● アンモニア・アンモニウム化合物【追加】
JIS K 0102 の改正で新たに追加されたアンモニウムイオンについて、サリチル酸-インドフェノール青吸光光度法の追加に伴い、告示法についても追加する。

● 全シアン【追加】
JIS K 0102 で除外されている流れ分析法の蒸留操作について、公定法としての検証が完了したため、告示法についても追加する。
告示59号付表1に収載されるため、これまで付表1であった水銀や、付表1以下の項目についての箇条番号がずれるため、留意して運用するよう注意が必要である。

● フェノール類【追加】
分析現場で広く使用されている、くえん酸蒸留・4-アミノアンチピリン発色CFA法について、公定法としての検証が完了したため、告示法について変更する。