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ビーエルテックニュース

白しょうゆ及び白しょうゆ加工品への手分析からNIRへの移行

ヤマシン醸造

ヤマシン醸造株式会社
技術部 課長 池崎重之

弊社、ヤマシン醸造株式会社は愛知県碧南市に1802年(江戸享和2年)創業の白しょうゆ専門の醸造メーカーです。白しょうゆをはじめ、白だしや白しょうゆとオリーブオイルを合わせたオリーブ白しょう油など多様でユニークな商品を製造販売しています。

弊社では、安全で安心な調味料を提供するために、食塩分やうま味の指標となる全窒素分などの成分分析を行っています。これまで、成分分析は手分析にて実施しておりましたが、特に全窒素分はケルダール法にて行っていたため分解、蒸留、滴定で1検体あたり結果が出るまでに約2時間を要しておりました。さらに最近は分析する検体数が増加してきており合わせて分析時間の増加も発生しておりました。このようなことから製造現場への成分調整の指示が遅くなり、調合やろ過作業が遅れるといった影響も及ぼしておりました。

そこで、何とか分析時間を短縮できないかと考え、色々調査しまして業界関係者から紹介されたのがビーエルテック(株)のスペクトラスターです。この装置は、弊社がこれまで手分析にて測定していました、食塩分、還元糖分、全窒素分、Brix、エキス分、アルコール分が同時に測定でき、分析時間も1検体あたりデータ解析まで行って約30分と大幅に短縮ができます。また、手分析を行っていた時のように検体の希釈や試薬での滴定作業が必要なく、原液のまま測定でき、試薬代のコスト削減、さらに濃硫酸や水酸化ナトリウムなどの劇薬の使用がなくなり、安全に測定ができることもメリットです。

それから弊社の手分析値とサンプルをビーエルテックに送付し、NIR値を測定し検量線作成を行って頂く作業が始まりました。そして、2019年10月に装置が納入され、測定を開始しました。しかし、手分析値とNIR値との乖離が大きく、再度、検量線の精度を高めるため一旦装置をお戻しし、改めて検量線の作成を行って頂きました。

弊社の検量線プロダクトは全部で5種類に区分し、主製品の白しょうゆは約500本のデータから検量線が作成され、大変精度の良いものになりました。また、弊社はスパイスなどの固形分が入った調味料も生産しており、このようなタイプのものはこれまで測定が難しいようでしたが、一度固形分を濾してからであれば測定が可能であることが判りました。ビーエルテックの原様には何度も、何度も検量線追加作業を行って頂き、大変感謝致しております。

そして、2020年10月下旬に装置を再納入して頂きました。それからのNIR測定値は手分析値と遜色なく、信頼できるデータとなり安心して測定できるようになりました。製造現場への調整連絡も大幅に早くなり、調合やろ過作業への移行もかなり早くできるように改善されました。今後も、さらなる測定数値の安定化に努めて参ります。

インフルエンザや新型コロナウイルス感染リスク回避の意味合いから、この装置は操作が簡易なので、製造部門にもレクチャーを行い、技術部門以外でも測定ができるような体制づくりをしていきます。また、近隣の同業他社の品質管理のための分析をこのスペクトラスターで行えるよう新事業として検討して参ります。

この度は、このような大変弊社にとりまして画期的で合理化につながる装置の導入にご尽力頂きましたこと厚く御礼申し上げます。

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